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花のKYOTO 2011.皐月 |
〜初目〜

春うららのGW、

今回の旅の目的は、

団子より花。

と言ってはみたものの、

車中で紐解く、

駅弁に舌鼓。

“俵屋”さんに荷物を預け、

伏見の竹田に向かいます。

いにしえの宮廷のかほりを求め、

最初に訪れたのは、

安楽寿院。

鳥羽離宮の東殿にあたる、

鳥羽上皇がご安置された、

由緒ある寺院です。

遅咲きの桜が、

参道の入口を彩る城南宮。

その名が示す通り、

鳥羽離宮をルーツとする、

平安文化の趣きを伝えるお宮さんです。

三光紋が描かれた、

形のめずらしい鳥居。
、

境内で目を惹く、

五色の垂幕。

神楽殿を抜け、

小川が巡る神苑へ。

小川をを彩る、

姫著莪。

池の周りを賑わす、

山吹。

庭内を巡る小川で催されるのが、

曲水の宴。

祭の後の静けさか、

GWでも観光客が少ない、

穴場の美庭のようです。

濡れた手水鉢に、

風情のある佇まいの茶室、

楽水軒でお茶を一服。

昭和の小堀遠州、

中根金作の作庭です。

色鮮やかなツツジ、

爽やかな青もみじ、

美しい藤と、

見どころはたくさん。

唯一惜しまれるのは、

最も美しかった菖蒲の群生。

もしや花をつける花菖蒲だったかも?

という謎が残ったことです。

烏丸御池へ戻り、

COCON-KARASUMAでランチ。

京都では初となるチャイニーズは、

オールドホンコンレストランキョウト。

青島ビールで気分も盛上げ、

冷菜の盛合せを。

調理前のお披露目に続き、

ホンコンマダムに倣って、

飲茶を次から次へと、

平らげます。

色鮮やかに蒸された伊勢海老は、

ガーリックソースで。

佛跳牆の器で蒸された、

衣笠茸とスッポンのスープ。

活け蟹で締めくくり、

唐長に寄り道。

正月のお誘いを断念したため、

九か月ぶりとなる、

“俵屋”さんへ。

お部屋はこの道の奥、

唯一ガラス戸で仕切られた、

“俵屋”スィート暁翠庵。

青竹に囲まれた、

そこはかとなく美しいお部屋です。

高野槇の湯を満喫し、

和のスィーツを堪能したら、

ベッドでシエスタ。

寝呆けた頭がすっきりしたら、

ちょっとお出かけ。

お目当ては、

毎度恒例となった、

遊形や古美術屋で、

食器やお土産を物色。

そして京都を感じるお散歩。

『あっ、明日、お邪魔しま〜す!』

暮れなずむ“俵屋”さん、

宴の準備も刻々と。

この季節に、

“俵屋”さんに訪れたのは初めて。

明後日は端午の節句、

いつまでも健やかに。

そしていつ来ても変わらぬ、

美を湛える“俵屋旅館”。

薫風かほる五月、

皐月の季節を、

優雅に食す、

“俵屋”のお料理。

抱腹絶品の稚鮎、

いつもながら、

言葉を失います。

向附は、

明石鯛の千利造り、

お口直しの新蓴菜、

京都近海の海胆。

蓋を開けた瞬間に、

磯の香りが立ち上る油目の椀。

華やかな焼物は蕗の東寺焼と、

炙った取貝、

鱸の蓼焼き。

粽の中身は鰻、

温物は鱚。

酒器との色合いもいい、

強肴の陸蓮根の叩き。

旨い香の物でご飯をいただき、

マンゴゼリーで締めくくります。

一服したら、

夢の中へ。

まだ人の気配が少ない、

早朝の“俵屋”さん。

すでに玄関には水が打たれ、

凛とした空気に、

包まれています。

市中も人の往来はまばら、

ゆっくりとした、

優しい時間です。

さあ、今日も一日、

京都と“俵屋”さんを満喫しましょう。

湯浴みをしたら、

ブレックファースト、

本日は洋食。

客室係りのNさんが、

焼き方を気遣ってくれたクロワッサンが、

これまた絶品でした。

時間を気にするでもなく、

こんな美しい景色を、

縁台に寝そべって、

ぼーと眺めて過ごす。

日常とはかけ離れた、

優雅なひと時。

でも、

不思議と意気揚々としてきて、

出不精の私でも、

お出かけしたくなるんです。

それでは行きまひょか、
団子より花の旅。
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